最近、ボストンを拠点とするGraylark Technologiesが開発したAIツール「GeoSpy」が注目を集めている。このツールは、数百万の画像データをもとにトレーニングされ、数秒で写真の位置を特定する能力を持っている。GeoSpyは、植生や建物、空間的な関係、道路面の種類など、画像の詳細を分析することで、写真が撮影された地域を高精度で特定できる。
具体的には、GeoSpyは撮影された場所を都市やエリア単位で特定することができ、通常はストリートや家の番号までは至らないものの、数平方マイルに検索範囲を絞ることが可能である。このツールの特長は、専門的な知識や訓練がなくても誰でも写真の位置を簡単に特定できる点だ。従来、オープンソースインテリジェンス(OSINT)専門家は、画像解析の技術を数年もかけて磨く必要があったが、GeoSpyを使えば初心者でも高速で類似の結果を得ることができる。
さらに、技術にあまり詳しくない人でも、インターネット上で共有された写真から人物の特定が可能になる。ソーシャルメディアでは、アップロードされた画像からGPS座標やその他の位置情報が削除されることがあるが、GeoSpyはそうしたメタデータに依存せずに位置を特定する。
GeoSpyを開発したGraylark Technologiesは、このツールを政府機関や法執行機関のために設計したものである。しかし、最初の数カ月は誰でも試すことができる状況だった。404 Mediaの報告によれば、人々はGeoSpyの威力を示す動画をオンラインで共有し始めた。この頃から一部のユーザーが、女性のストーキングにGeoSpyを利用するようになったという報道もある。これを受けてGraylark Technologiesは、その要求に強く反発し、また報道機関がコメントを求めた際にGeoSpyへの一般アクセスを閉じた。
とはいえ、404 Mediaは「GeoSpyが、オンラインで公開された写真から得られる情報の流れを根本的に変える可能性がある」と報じている。たとえば、法執行機関や調査官はGeoSpyを使って行方不明者を特定したり、刑事事件の証拠を集めたりすることができる。今までこの種の作業には、写真解析における長年の経験が必要だったが、GeoSpyによって初心者でも数分で結果を得ることができるようになった。
しかし、このツールのリリースは、倫理的な懸念を解決し、この技術に対する強力な保護措置を講じる必要性を強調している。私たちの技術が進化する中で、その利用方法に関する透明性を確保し、悪用されないように注意を払うことが求められている。今後のGeoSpyの動向と、その影響について注目が集まるだろう。