米国運輸省(NHTSA)は、テスラの完全自動運転モード(FSD)の初期評価を開始しました。この調査は、視界が不良な状況での事故の可能性があるとの報告を受けてのものです。特に昨年11月にアリゾナ州のリムロックで発生した、モデルYが歩行者を衝突して死亡させた事故が注目されています。
NHTSAの欠陥調査室(ODI)は、FSDが搭載されたテスラ車が、視界不良の状況下で衝突したケースを4件確認しています。これらの事故には、日差しによる眩しさ、霧、空気中の埃といった条件が共通しており、そのうち1件では歩行者が死亡、別の事故では怪我人が報告されています。
調査対象となるのは、2016年から2024年のモデルSとモデルX、2017年から2024年のモデル3、2020年から2024年のモデルY、そして2023年から2024年のサイバートラックです。NHTSAは、この初期評価においてFSDのエンジニアリング制御が、視界に問題がある状況で適切に検知して反応できるかどうかを評価します。また、他に類似のFSDによる事故があったか、その際の状況や、自動運転システムに対するテスラの更新・修正が事故に影響を及ぼす可能性についても検討します。
この調査の発表は、テスラが新たな自動運転ロボタクシー「サイバーキャブ」を発表したわずか1週間後に行われました。イーロン・マスクは、コンピュータービジョンを基にした自動運転システムが未来の標準になるとし、センサーを基にしたシステムを「滅びる運命にある」と強く主張しています。一方で、Waymoなどのロボタクシー企業は、ライダーやカメラ、レーダーを用いたセンサースイートで自動運転を行っており、他の自動車メーカーも運転支援機能としてライダーやレーダーを取り入れています。