生成AIはさまざまな製品やサービスに浸透しており、その中でもコーディングにおいては特に有効性が示されています。個人開発者や大手企業が生成ツールを積極的に活用してプログラムを作成・デバッグする中、Googleは新たに無料のAIコーディングツール「Gemini Code Assist」を発表しました。このツールは、以前は企業向けの製品としてリリースされ、今回の個人向けバージョンでは多くの機能がそのまま維持されています。Gemini Code Assistは、開発者が普段使用しているツールと完全に統合されており、ウィンドウを移動せずに大規模言語モデル(LLM)の力を利用することができます。明確な指示を与えることで、特定の課題についても提案を行ってくれます。
この新しいサービスの料金は、以前はユーザーあたり月額45ドルから始まっていましたが、現在は個人開発者に無料で提供され、制限も非常に寛大です。Googleは、月に180,000回のコード補完を提供し、プロの開発者でも十分に使用できると主張しています。これはMicrosoftの「GitHub Copilot」とは対照的で、Copilotは月にたったの2,000回のコード補完と50回のチャットメッセージで提供されています。Gemini Code AssistはCopilotに対して90倍もの補完数を供給していることになります。
Gemini Code Assistは、従来のエンタープライズバージョンと同様に、最新のGemini 2.0 LLMに基づいており、コーディング用に最適化されています。Googleによれば、大きな文脈ウィンドウは全てのデベロッパーにとってAIコーディングを有用にするためのポイントとなっています。このシステムの128,000トークンの入力限界により、複雑なプログラミング問題に対処することも可能です。
Gemini Code AssistはFirebase、Visual Studio、GitHubなどの多くの人気IDEとプラットフォームと統合され、MicrosoftのAIコーディングツールと直接競合します。Googleもデータセンターに大規模な投資を行い、AIワークロードを運用していますが、提供する機能に対して推定以上のコストがかかっています。このように高い使用制限でGemini Code Assistを展開することで、開発者をGoogleのGeminiエコシステムに組み込むことができ、MicrosoftやOpenAIからの離脱を促す可能性があります。この戦略は、AIツールが長期間持続する場合に大きな利益を生む可能性があるでしょう。
なお、個人向けのGemini Code Assistはまだプレビュー版であり、機能は将来的に変更される可能性があります。また、エンタープライズ版に搭載されている生産性メトリクスやカスタマイズ可能なAI応答などの機能は含まれていません。これらが必要な場合は、有料バージョンを選択することを推奨しています。
このように、GoogleのGemini Code AssistはAIによるコーディングの新しいスタンダードを築く可能性を秘めた強力なツールです。